技能実習生が失踪、そんな時、どうすればいい?
企業が技能実習生を受け入れる際、彼らが職場で安全かつ適切に働ける環境を整えることは重要です。しかし、万が一、技能実習生が失踪してしまった場合、企業としてどのような対応を取るべきかご存知でしょうか。以下では、失踪時の適切な … Continue reading "技能実習生が失踪、そんな時、どうすればいい?"
企業が技能実習生を受け入れる際、彼らが職場で安全かつ適切に働ける環境を整えることは重要です。しかし、万が一、技能実習生が失踪してしまった場合、企業としてどのような対応を取るべきかご存知でしょうか。以下では、失踪時の適切な対応と予防策について詳しく解説します。
技能実習生の失踪が起こる背景
技能実習生の失踪は、受け入れ企業や監理団体にとって深刻な問題です。失踪の原因としては、労働条件への不満や給与の未払い、言語や文化の壁によるストレスなどが挙げられます。また、ブローカーによる不正な介入や、他の高賃金の仕事への誘惑も要因となり得ます。
国ごとの失踪の傾向
国ごとに一括りにはできませんし、するべきではありませんが、雇用する上での気をつけなければならない傾向はあります。
例えば、ベトナム人の場合、たくさんの労働者が日本国内に住んでいます。知人・友人がたくさんいるため、誘いも多くなりがちです。
また、ミャンマー人の場合は、失踪後、母国の情勢不安を理由にし、特定活動を申請して、失踪者の9割が就労制限のない特定活動で働いていたこともありました。しかし、2024年10月1日より「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置」において、技能実習未修了者への特定活動の申請取り扱いを変更されたこともあり、この問題は一旦は発生しなくなりそうです。
失踪が発覚した際の初動対応
技能実習生が所在不明となった場合、以下の初動対応を迅速に行うことが求められます。
- 社内での確認: まずは社内や宿舎内を徹底的に確認し、単なる行き違いでないか確認します。
- 同僚への聞き取り: 他の技能実習生や従業員に状況を確認し、失踪者の最近の様子や悩みを把握します。
- 監理団体への連絡: 速やかに監理団体に連絡し、指示を仰ぎます。
警察や関係機関への報告義務
技能実習生の失踪は法律上の報告義務があります。
- 警察への届出: 失踪が確認されたら、24時間以内に最寄りの警察署に「所在不明届」を提出します。
- 入国管理局への報告: 入国管理局にも速やかに報告し、必要な手続きを行います。
- 労働基準監督署への連絡: 労働条件に関する問題があった場合は、労働基準監督署への報告も検討します。
監理団体との協力
監理団体は技能実習生の生活や労働環境をサポートする役割を持っています。
- 情報共有: 失踪者の情報やこれまでの状況を詳しく共有します。
- 捜索活動の支援: 必要に応じて、監理団体と協力して捜索活動を行います。
- 再発防止策の検討: 失踪の原因を分析し、今後の対策を協議します。
企業としての責任とリスク管理
失踪事案は企業の信用にも影響を及ぼす可能性があります。
- 法的リスクの認識: 適切な報告を怠ると、罰則の対象となることがあります。
- メディア対応: 万が一報道された場合に備え、広報部門と連携して適切な対応を準備します。
- 内部調査の実施: 労働環境や待遇に問題がなかったか、内部調査を行います。
再発防止のための取り組み
失踪を防ぐためには、日頃からの取り組みが重要です。
- コミュニケーションの強化: 定期的な面談やアンケートを実施し、技能実習生の悩みや要望を把握します。
- 労働環境の改善: 労働時間や休暇、給与などが適正であるか見直します。
- 生活支援の充実: 日本での生活に慣れるためのサポートや日本語教育を提供します。
- 文化交流の促進: 社内イベントや地域交流を通じて、社会とのつながりを深めます。
法令遵守の徹底
技能実習制度に関する法律やガイドラインを遵守することは不可欠です。
- 最新情報の取得: 法律の改正や新たな指針が出された場合、速やかに対応します。
- 社員教育の実施: 担当者や現場の従業員に対し、技能実習生に関する法令や対応方法の研修を行います。
まとめ
技能実習生の失踪は企業にとって避けたい事態ですが、万が一発生した場合は迅速かつ適切な対応が求められます。法令遵守を徹底し、技能実習生が安心して働ける環境づくりに努めることで、失踪のリスクを最小限に抑えることができます。企業としての責任を果たし、国際的な信頼を築くためにも、日頃からの取り組みが重要です。
